2023年日本の不動産市況動向
国土交通書では毎月「不動産価格指数」を公表しています。その最新版(2023年12月28日公表)を元に2023年の動きについてご説明致します。
「不動産価格指数」は、年間約30万件の不動産取引価格の情報をもとに算出されています。その情報源は、実際に不動産売買をおこなった人へのアンケート調査・登記移動情報・不動産鑑定士の現地調査となっています。
*公表されるデータはリアルタイムではなく、公表日と対象期間に3ヶ月程度のタイムラグがあります。(例 2023年12月28日公表されたデータは、2023年9月が対象期間)
住宅・用途別不動産価格指数
データ出典:国土交通省
住宅地の価格推移
基準年の2010年から横ばいの状態が続き、2020年の1月には一度基準値以下となりましたが、その後は上昇傾向に転じました。2023年の4月頃には急上昇し、その後も上昇傾向が続いています。
戸建て住宅の価格推移
こちらも住宅地同様に、2010年からほぼ横ばいの状態が続きましたが、2020年から上昇に転じています。その後も上下の変動はありますが、上昇傾向が続いているようです。
マンションの価格推移
2013年から上昇し始め、2020年以降は著しく上昇しており、2010年から2023年で1.9倍以上上昇しています。
商業用不動産・用途別不動産価格指数
データ出典:国土交通省
店舗・マンション及びアパート(一棟)・オフィスの価格推移
2012年以降、上下に変動はありますが全般的に上昇しています。2022年は、店舗は下降しており、オフィスとマンション・アパートは上昇傾向にあります。特にオフィスは、2023年大きく上昇しています。
倉庫の価格推移
2015年以降上昇し始め2018年に最高値になり、その後下落していますが2021年から再び上昇に転じ、2022年第2四半期には、2018年の数値とほほ同じまで上昇しました。その後急激に下落しましたが、2022年後半から上昇に転じ、2023年には2008年以降最も高い数値まで上昇しています。
工場の価格推移
2021年の前半にかなり値を下げましたが、2021年末辺りから上昇に転じました。2023年2月頃から下落傾向ではありますが、一時的な下落の可能性もあり、依然として高い指数を維持しています。
商業地の価格推移
2010年からほぼ横ばいの状態が続いていましたが、2020年以降少しずつ上昇しています。2022年は第1四半期から急激に下降しましたが、第3半期から急速に回復し始め、2023年には2008年以来最も高い指数を記録し、現在も上昇傾向にあります。
工業地の価格推移
2016年以降ほぼ横ばいの状態でしたが、2021年より上昇し始め、2023には2008年以来最も高い指数になり、現在も上昇傾向にあります。
2023年日本の不動産市況まとめ
表が示す通り、2023年日本の不動産価格指数は、住宅・商業用不動産ともに上昇傾向にあります。2024年も建築資材の高騰や、海外投資家からの投資マネーの流入等の要因により、上昇傾向が続くのではないかと推測されます。
2022年に同様の記事を作成した際には、指数表の縦軸に記載されていた最高指数は、住宅の場合180、商業用の場合160でしたが、現在では、住宅の場合200、商業用の場合170とより高い数値を表せるように変更になっています。このことからも、マンション価格を筆頭に価格の上昇が続いている事がわかります。
不動産価格指数は毎月公表されますので、定期的に確認する事でマーケットの動向を知る事ができます。また指数の情報源ともなっている国土交通省の検索システム「土地総合情報システム」を使って、実際に行われた不動産の取引価格や地価公示、都道府県地価調査の価格を自分が知りたいエリアを指定して検索・閲覧する事が出来ます。ただし不動産取引を行った人へのアンケートをもとに作られた情報ですので、取引の少ない地域もあり、必ずしも正確なデータとなっているわけではありません。